元の折り目の跡残りにご注意
パンツやスカート・ワンピースの着丈や、ジャケット・コートの袖丈を長くしたいと言うご依頼を承ることがあります。特に夏場のアイテムは、白・生成・クリーム色などの薄い色が多い!長くする場合は、注意が必要なんです。
まず色目に関係なく、コットン・シルク・麻は、元の折線が残ります。どんなにアイロンをかけてもまず元線が完全に消えることはありません。一部の合成繊維も跡残りする場合があります。
今回のご依頼は、オフホワイトのジャケットの袖丈出し。元々5cmほどのスリットのあるデザインだったので、袖の縫い代(折り曲げ部分)が7cmほどありました。ご要望の寸法に沿って長くすることは可能ですが、不足分を布足しするためスリットは移動できない!スリットを作ると、ひらりと捲れた時に布足し部分が見えてしまうからです。お客様に、その件をご説明して、スリットなしの筒袖でご対応しました。そして問題は跡残り!!
以前教わった裏技も駆使して、折跡はほぼ消すことができました。でも・・・薄い色の布はどうしても汚れを吸い寄せてしまいます。パッと見た目は、然程気にならないんですが、折り目を広げると、やっぱり薄い黒っぽいラインが残ります。白いものは必ずと言っていいほど、この汚れラインが残ってしまうんです。これを全く無くす手立てはありません。もしかして、何度もクリーニングしていくと、だんだん目立たなくなってくるのかもしれないんですが、加工品としてお仕上げしてお客様の手に渡る時は、その状態で素敵に着て欲しい!と思うので、毎回何らかの対応をします。その分多少の料金は掛かってしまうんですけど~、ご説明してご理解頂けるように努めております。
今回は、たまたま色目のマッチするグログランリボンがありましたので、全てを仕上げた後、ハンドステッチでテープを貼って隠しました。お客様からは、ご好評頂けたので良かったです。その他には、ステッチ糸でミシンステッチしてデザインしたり、その部分で切り替えたりと、幾通りかの方法の中からお洋服のデザインに応じて考え、ご提案しております。もしも気に入ったテープやブレードがあれば、一緒にお持ちいただくと有難いですね。
もちろん、裾や袖の縫い代(折り曲げ部分)の幅によって、ご要望通りの寸法が確保できない事があります。その際は別布やレースを足してデザインを変更するような事が可能な場合もあります。また、汚れの程度によっては残念ながら、丈を長くしないほうがいい!と判断させて頂く場合もございます。
『もうすこし長く出来ればな~』とのご希望がある場合は、是非一度アトリエをお訪ね頂き、拝見させて頂きたいと思います。どなたにも、しっくり馴染むお好みの長さがありますものね。特に昨今、通販をご利用されるお客様も多くいらっしゃるので『ちょっと短いな~』と思われたら、出来るだけ試着の段階でお持ち頂くことをオススメいたします。