お直し

お仕事通信『コートの袖口スレ補修』

長年愛用したコート。スレが修理できれば着続けられる

そんなご要望を頂戴しました。

確かに紳士のトレンチコートやステンカラーコートは流行に左右される事なく毎年役立つ一品です。お値段もそこそこ・・・お気に入りで長い間着用すれば当然袖口がスレて破れてしまいます。今回お預かりしたコートも、しっかりしたブランドのお品なんですが、確かブランド自体はすでに国内から撤退してしまったと思います。なかなか同じようなコートを探すのも一苦労ですよね。

袖口の下になる部分が擦り切れてしまって・・・この辺りは手を動かすとテーブルなどに当たる部分なので、上の方よりスレが酷いケースが多いです。

補修の手段としては、内側から摘んで見返し仕立てにする、或いはキズをミシン入れで修理する方法があります。ただ、表布がしっかりしていると、摘んで縫い込めばかなり厚みが出ます。そこで今回はキズ補修することにしました。

全体を0.7cmほど上げて破れに裏当てし小さくミシン入れしました。そのままでは、見た目がちょっと残念です。コートの袖口は案外広いので、ふとした時に内側が覗きます。そこで、似た色調の薄手の布でテープを作って全体に一周貼ってみました。こうしておけば、キズを隠すだけじゃなく、袖口の補強にもなります。形状も整います。

ギザギザしていた袖口もすっきりしました。少しの上げなのでタブ移動はなしですが、比較してみても違和感なく仕上がったと思います。

内側はこんなカンジです。

手を動かして袖口から内側が覗いても違和感はないと思います。逆にちょっとオリジナリティー溢れる、おしゃれな演出になるかも知れません。折り位置も芯を足して再補強しています。もう少し長い間、お楽しみ頂けるとおもいます。

ちなみに、この手法は裾でも可能です。ただ、裾の場合は前端やベンツの端のスレも気になるところです。着丈のカットは、その状態に沿って短くする必要があるかもしれません。「どうかな~」とお悩みになる前に、一度お品物を拝見させて頂きたいと思います。スレの位置や全体のお仕立てに応じてお値段も含めて、お見積りさせて頂きます。

もう少し着たいんだけど・・・どうなんだろう?という思いにお応えできるといいな~と思っております。