修理

お仕事通信『紳士ジャケット前端のスレ補修』

長年着用した物だけど、何とかもう少し・・・

ジャケット・・特に男性の背広は、ある意味で自分を表現するもの。お気に入りや思いの深いジャケットは着ていて安心感を抱き自信が持てるんだろうと推察いたします。素材と仕立てがよければ、本当に20年~30年と着続けることができると思うんですが、やはり着れば着るほど傷みも生じます。画像のジャケットは、始終ボタンを留め外す影響で前端がスレて仕舞ったものです。「もう少し着たいんですが、さすがにこのままじゃ・・。何とかできないでしょうか」とのご相談でした。

そこで、ワイシャツの袖口カフスのスレを補修する方法を活用できないだろうか?とシュミレーションしてご提案しました。前端を左右とも0.5cm程度縫いこみステッチで抑えるという手法です。ミシンの入ることろは、しっかり内側からミシンを入れ、どうしても厳しいところで手作業で仕上げます。ラインを真っ直ぐに保ち自然に元の位置に戻すのは案外苦心します。ステッチ糸の色目も出来る限り合わせ(全く同じ色は揃わないんです)継ぎ目が目立たないように工夫しました。

打ち合わせが浅くなるので、最後にボタン位置を調整しました。縫い込む関係で、前身頃が全体で1.5cmくらい狭くなりますので、着用して身頃にゆとりがあるか又は、前ボタンを留めないという前提が必要です。ボタンを留めると少し端に寄ることになりますが、然程影響はないと思います。こうやって仕上がりを比較すると、やはり手を掛けただけの成果があったな~と実感します。お客様にも喜んで頂けました。

その他に袖口のスレや裏地の破れ修理、パンツの裾スレ補修などのご依頼も承ります。

箇所によっては修理が難しいものもありますが、まずはご相談ください。その都度、何がしかの方法や手段を考えて、出来る限りお値段を抑えながら最良のご提案を目指して、検討させて頂きます。長年共に戦った背広は云わば同志のような存在なんだろうな~と、我々は考えております。