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お仕事通信『ブラウスの身幅出し』

プリントonプリントの妙技でゆったり着易く

女性のブラウスの身幅出しを承ることが、よくあります。

年齢の重ねての体格や体型の変化はもちろん、お病気やお怪我による歪で左右が均等ではない場合もあり、悩めるところです。“身幅出し”といっても、ブラウスは縫代が少ないので生地を加えて広げることになります。そして、共布が存在する事は稀です。着丈が長くてカット可能な場合を除いて、別生地を手配します。いつもあちこちの生地屋さんに御協力頂いて、出来る限り馴染みのよい違和感の少ないものを選ぶよう心がけています。(後日、仕上がり画像を見てもらったりして報告するんですよ)

今回ご依頼頂いたブラウスは、ペーズリーのプリントです。爽やかな季節にぴったりの逸品です。身体の左腰にトラブルを抱えるお客様で、市販のもののままでは片側が突っ張って着られません。バストは問題ないので、アームホール消しで脇にマチを入れてご対応しました。

気になる箇所で充分な幅を確保して、裾までラインを伸ばしてフレアーを入れる要領でマチ入れしました。全体のバランスを考えると片脇だけにマチを入れる訳にはいかないので、反対側にも裾幅で1/3ほどの幅でマチを加えました。生地は、同じ雰囲気のものはまずないので通常、素材重視か色合い重視かで選びます。今回は色合い重視!全く異なるプリントですが、色合いがマッチしているので、さほど目立たない雰囲気にできました。

    

生地の違いが判りますか?たっぷりのフレアーのお陰で、幅自体は左右が然程変わらない雰囲気になりました。綿素材で、腕の上げ下げも気になるとのことでしたので、脇下にも小さなマチを追加しています。着用すると隠れてしまうんで目立たないと思います。この手法は、タレントさんの衣装加工から学んだものなんですが、やはり無駄な作業はないですね。どの作業も様々な場面で役立ちます。

こういう体型のお客様の場合、裾ラインが一本に繋がると、身幅が広く見えるので、両脇にスリットを作成してラインを分断することもあります。適度な開きが着易くて、見た目にも身幅の広さを感じさせないのでスリットは結構重要なディテールです。こんな風にお客様と話し合いながら出来る限り御要望にお応えできるよう、日々取り組んでおります。確かにデザイン的に加工が難しいものもありますが、まずはお品物を拝見させて頂きたいと思っております。