ダッフルコートのボタンループ交換
今年もよく見かけるダッフルコート。トグルボタンが特徴的です。素材は水牛や木製などがあります。パッチやループは合皮のものが多く、コレが時間が経つにつれて劣化していきます。合皮はそもそもベース生地に皮革風のビニールの様な素材を糊付けしたものです。摩擦や湿気に弱いです。摩擦で表面が剥がれたり、湿気(汗も含む)では、糊が剥がれて浮き上がってきます。結果やはり表面は剥がれ落ちます。現状では生地を取り替える以外には、補修の方法がありません。衿や袖に使ってあれば、丸ごと作り変えることになります。
今回のトグルボタンのループもかなり劣化していました。
表面が剥げています。ボタンを留めるとおのずと引っ張られるので、場所によっては伸びているところもあります。この場合、ウチでは本皮のループへの交換をオススメしています。
パッチの場合は、表面を一旦剥がしてから一回り大きなパッチを本皮で作って貼り付けます。補修料金の他に材料代と材料の加工代が必要になりますが、かなり長く活用頂けると思います。今回の場合はこんな風に仕上がりました。
本皮も時間が経てば伸びてくると考えられるので、一箇所づつ位置を確認しながら、多少短めに仕上げました。本皮の持つ風合いと、しっかりした素材の魅力が加わって、高級感も演出できたのではないかな~と思っています。新品のコートのようになりました。
ただ、品物がジャケットの衿やブルゾンの袖になると、かなりの革の分量が必要となります。もちろん、皮革以外の生地に取り替えることも可能ですが、いずれにせよ一度バラして丸ごと作り変えることになりますので、かなりの料金と時間が必要になります。例えばコートの衿やカフスにパイピング(細くて丸みのあるテープ)として合皮を使ってある場合は、取替え難しい場合もありますので、実際には、お品物を拝見してから判断させて頂くことになります。
合皮(フェイクレザー)使いの製品をお持ちの場合、劣化が進んできたらお買い替えも含めて、じっくりご検討下さい。