リメイク

お仕事通信『ハイブランドシャツに取り組む』

全体が左右非対称なシャツの袖丈詰め

パリコレにも出品している国内で最も有名なブランドのシャツ。袖丈を半袖にしたいとのご要望をお受けしました。ボディーに着せて全体をチェックしてみると・・・左右対称な所がどこにもない!前中心もヨークも衿も・・・パネルのラインは左は前、右は後ろに見頃続きで一本ずつあり当然袖底にも縫い目がない。

さーて、いかにして半袖にするか?

①裏にバイヤステープを張って見返し仕立てにする。(色目が合わない)②残った袖でテープを作って見返しにする。(2本接ぎになり袖山に縫い代が出来て袖が跳ねる)③袖底に縫い目を作った袖幅を詰める。(デザインイメージに沿うのか?)④縫代を少なくして3巻ステッチにする(袖にウエーブがでて全体の雰囲気が変わる)

お客様と再度ご相談させて頂き、袖底に縫い目を作ることで決着!と、いう訳で袖底のラインを作るのにも一苦労でしたがなんとか目途が立ちました。

 

袖丈の確認は最終的に袖口カフスを目安にしました。ピッタリ合ってるんです!袖丈と前打ち合わせのラインは・・・さすがハイブランド!だから左右非対称でも全体はまとまったシルエットになるんですね~凄い技術ですよね。

袖幅を詰めるのは、まず縫代の幅を確保することなんですが、その他にも出来上がって着用したときに袖山が跳ねずに落ち着く効果もあります。だからこそ、袖底の縫い目は半袖には必要なんですよね。何cm詰めるかを何度か躾糸で試し縫いして必要最低限の詰め寸法を決めて作業しました。そう・・・ダーツを取る感覚です。そうしておけば縫代の始末もなく全体とのバランスも保てます。なんとかステッチ幅を保てるラインを見つけ仕上げました。

いや~縫う事だけを考えたらほんの短い時間で可能なんですが、凝ったデザインゆえに袖口ラインの検討と仕立ての方法を決めるのにかなりの時間がかかりました。でも、スッキリ仕上がって良かったです。気になった袖底の縫い目も、生地のプリントのお陰もあって目立たなくできました。良かったです。ハイブランドの製品はこだわりが強かったり仕立てがとても丁寧だったりと、やっぱり価格なりきの仕立てなんですよね。だからこそ・・・そのブランドの、そのデザインの持つ雰囲気を出来るだけ壊さないように、充分に検討を重ねて加工させて頂いております。