衣装

お仕事通信『お客様のイメージをカタチに』

「え?」・・「あっなるほど!」

ダンスに着るスカートなんですけどね、ウエストが大き過ぎて・・でねっ、コレを胸まで持ってくると、ちょっとイイ感じになるんですよ~。そんなお話でした。お客様はラテン系のダンスを習ったいらっしゃるそうで、裾幅の広い16枚接ぎのスカートは黒の二素材使いのゴージャスな雰囲気です。 ご希望は肩紐を付けることと、 腕をカバーしたいという事。肩紐は幅の広めのものが良いと思いご提案しました。ご納得頂けたようです。問題は腕のカバー!

袖は付けられないし、やはり大きなリボンかな?と思いお伝えすると「あら、いいわね!」って気に入って下さいました。とはいえ、リボンをどうするか?随分悩みました。最初は肩紐を長くして肩で結ぶ方法。だた、それじゃ着脱が大変です。しかも踊っている最中に、もしもリボンが緩んできたら・・・目も当てられない。そして、柔らかい素材じゃないとトローンと落ちてはくれない。でも、肩紐はしっかり固定したい!結局、しっかりした素材で肩紐を付けて、リボンはソフトな素材で別に作って肩にのせるという方法。これなら、両方のご要望にお応えできそうです。

まずは肩紐を作って付けてみました。後ろは1/3だけゴムを入れて、手を挙げ降ろししても紐がフィットするようにしました。外側に向かって傾斜をつけ身体に馴染むように取り付けてみました。後ろは若干内側に寄せて肩紐が落ちないように工夫しました。生地はバックサテンの裏使い。この素材はイメージに合わせて裏も表も使えます。張りがある割に肌辺りがソフトなので今回のスカートに適しています。

リボンはジョーゼットです。生地巾いっぱい150cm位のリボンです。大きく結んで肘あたりに先がくるようにしてみました。そして肩紐に乗せて止付けて仕上げました。二の腕までカバーできると思います。最終的な肩紐の長さは、お客様にご試着頂いて決めることになるので、5cm位は調整可能にしてあります。

大柄なお客様なので、このくらい大胆なカンジは良いな~って思っています。最初は「え?」ってかんじでお話を伺いましたが、実際に加工にはいると、「あーぁ!なるほど。イイ感じになるわっ♪」って感覚になりました。自分の持っていないイメージって、実はたくさんあるものです。お客様と接する中で様々なアイディアを頂戴してカタチにさせて頂くのは、本当に楽しい作業です。もしもこのスカートを普通にウエスト詰めすると思うと接ぎが多い分、大変な作業になるし、スカート全体のイメージが変わるかも知れません。

着ることのできなかったスカートが衣装に大変身!ダンスのお稽古も一段と楽しめるのではないでしょうかね。ご相談頂いて本当に感謝です。ありがとうございました。