リメイク

お仕事通信『ニットコートの裏地付け』

圧縮ニットのコートは、滑りが悪い~

海外でお求めになった、圧縮ニットのコート。海外製品は裏地が全く付いていないものが多い!以前カナダで、編込みファーのボレロを買われたお客様が「なんだか風が突き抜けて寒いのよ~」と全体に裏地を付けるご依頼を承ったことがあります。今回は、今トレンドの圧縮ニットのゆったりしたコートです。

「滑りが悪くて脱ぎ着が大変なんです。裏地付けられませんか?」とのご依頼でした。

お客様は、袖の裏地付けをご要望でした。が!コートで最も力の掛かる場所は、後身頃のアームホール下辺りなんです。腕は前に動かしますから、後は常に引っ張られる状態です。袖だけ裏地をつければ、いづれ後アームホール下辺りが伸びてきて最悪破れてしまいます。(実際、今シーズンその様な補修を承りました)

そこで、袖裏+1/2背裏をご提案!

背中の中心には深めのタックを取って体の動きを妨げないように工夫しました。ボルドーの方は、袖口が折り返しなので三つ折りで仕上げ、グレイの方は、縫代に筒袖の要領で裏地をかがり付けました。肩線・前アームホール・脇は手かがりで止めつけて仕上げました。

今回は、お客様のご希望とデザイン的に前身頃に裏地を止め付けられる箇所がないので、1/2背裏としましたが勿論、デザインによっては前身頃にも裏を付けることが出来ます。ただし、前に付けるのなら裾までとなります。中途半端な位置にはしないほうがよいです。

裏地付けは、まず、一着づつ裏地の型紙を作ります。そして必要な生地を準備して、裁断⇒縫製⇒取り付けという工程です。料金は、加工料金+生地代+パターン制作費&裁断手数料となりますので、ある程度の金額がかかります。お預かりの日数も3週間程度は必要なので、シーズンが終わってから、ゆっくりご依頼頂いた方が良いかとは思います。

裏地には様々な効果があります。まず、今回のお客様のお悩み解消のように滑りが良い事。そして表生地の伸びを防いでくれる事。そしてニットやファーと合わせると保温効果が上がり暖かくお召し頂ける事。お気に入りのコートで長く大切に着こなしたい!という思いがあれば、金額に見合うメリットを感じて頂けるのではないでしょうか?

これは・・どのくらいかかるんだろう?と思ったら、お見積もりさせて頂きますので、お品物ご持参の上、お立ち寄り下さい。その際に気になる点やご要望をお聞かせ頂けると、様々なご提案ができると思います。