お直し

お仕事通信『婦人パンツの大改造』

気に入ってたパンツが履けなくなって・・・

お品物は、少し前のモノのようですが、デザインはシンプルなツータックパンツ、夏の定番的な麻素材の肌触りによい生地です。「なるほど・・・すーっと履いていたいカンジですよね」ってことで、ご試着頂きました。

ウエストは全く入らず、お腹周りもかなり厳しい。当然ファスナーを上げることもできません。でも、ヒップから下は全く問題なく履けました。これは・・・生地を追加してデザインを変えるしか方法がないですね。

前のタックを全開すれば、ウエストは何とかイケそうなんですが、そもそもタックは縫い止めてあるわけではないので、お腹周りは生地を足す以外に広げようがないんです。そこを丁寧に説明して、お客様と検討した結果、今流行のワイドパンツ風に裾迄身幅を広げることになりました。

本体は地柄があるので合う素材は、まず見つからない!だから黒い生地を足すことにしました。両脇に6cmづつ真っ直ぐラインを入れるように・・・ただし、お腹周りから上は更にゆとりが欲しいので本体を5mmづつ広げるように縫っていきました。ベルトも布を足します。

本来は前の下側に布を継ぎ足すのがセオリーなんですけど、この場合やはり同系の色の生地がないので黒麻生地を、大胆に後ろ中心に加えてみました。そして身幅の出せる所を目一杯広げたら、ウエストの必要な出し寸法よりも10cmほど大きくできました。これなら後ろをゴム仕立てに出来ます。そしてこんな風に・・・

前から見ると、加工前と何ら変わりない雰囲気ですが、横から見ると黒いラインが入ってエッジの効いた雰囲気です。ご試着の時は、完全に開いてしまって使えなかった脇のポケットも悠々と手を入れることができるようになりました。後ろのゴムもぴったりフィットして、お客様に喜んで頂けました。今はヒールのある靴をほとんど履かないそうで、この雰囲気ならスニーカーやサンダルにもぴったりで、組み合わせもシンプルでOKです。

「もしも夏痩せしたら、どうしましょう・・」とおっしゃっていたんですが、その時は、タックを前に1本づつ取れるように細いダーツを残してあるので、前で詰め戻せます。

もちろん、デザイン的に全く手の施しようがないものもありますが、あの手この手を駆使して大改造することがあります。「これ、無理かな~」と諦める前に、一度拝見させて頂ければ、様々なアイディアをご提案しながら、お客様とご検討させていただきことが出来ます。

ちょっと前のお洋服は良い素材のものが多いので、サイズさえ合わせておけば毎年活躍してくれるのでは?

と、密かに思いながらリフォーム後のお洋服の活躍を願っております。