イブ・サンローラン回顧展
『ファッションは移り変わるがスタイルは永遠である』
1994年サンローランの言葉です。日本初の回顧展、目の前で彼のオートクチュール作品を見ることができる!かなりワクワクします。オートクチュールは顧客の為の逸品。多くの作品は個人所蔵。まず、見ることが出来ないモノだったんです。ファッションショーに出品されたプレタポルテは画像や映像でしか見たことがありません。学生時代、ファッション史を学ぶ時にまず登場するのが、ディオール。ここから、ブランドやスタイルが始まったともいえます。サンローランは若くしてそのディオールを後を継いでメゾンを発展させました。トラペーズラインは、その時分のデザイン。胸下から緩やかに開くAライン・・・今でも見かけますよね。その後、自身のブランドを立ち上げ、様々なラインや斬新な(当時・・ですが)デザインを発表しました。
中でも早くから作業服や軍服に目を付けそれをモードに高めていった功績は本当に大きい!
例えばピーコートは水兵の服、トレンチコートは冬の外套。それをアレンジして上品にしなやかに~。「サンローランのトレンチコートは他とは違う!」ファッションアイコンたちに愛され続ける一品です。

探検家の服装にヒントを得たサファリルックは洗練されてファッショナブル!その頃は非常識とされていたパンツを積極的に取り入れたり(スモーキーと銘打った作品)タキシードを婦人服に昇華させたり、もはやジェンダーフリーの先駆けともいえると思います。
勿論、クチュールとしての技術も一流で、様々な絵画をモチーフにしたり、各国の民族衣装にインスパイアされたり・・・
今のファッションの基本を作り上げたデザイナーだと思います。


中でも有名なのがモンドリアンルック。画家モンドリアンの作品をヒントに大胆なカッテングで配色した逸品です。その他にはピカソをオマージュしたものや、ゴッホの絵画をそのままビーズ刺繍で表現したりと、常に新たな発想を探求心でスタイルを切り開いていきました。今現在、その回顧展をじかに拝見して
『今のファッションの大元はほぼここにある』

が私の率直な感想です。
今は“なんでもあり”な時代じゃないでしょうか?そんな中、自分らしく着こなすためには、自分の良さを知ることと、全体のバランスを考えること!そうすればどんなトレンドにもしなやかに対応できると思います。「サンローラン?誰??」って方々も多いとおもいますが、こうやって先人たちの発想やひらめきがあってこそ、ファッションの魅力が受け継がれていくんだな~と感じ入った回顧展でした。