リメイク

お仕事通信『ワンピースの丈出し』

透け素材の扱いは難しい

ベースはシフォン、全体にハンドメイド風の刺繍を施したワンピース。。。

ご要望は、「丈を少し長くしたいんです!座るとちょっと短くて~」との事。お品物はインポートのようで、ベースカラーが独特の色合いでした。「多分、生地が見つからないと思います。せいぜい黒しかないかと~」とお伝えしたのですが、そのままではいずれにせよ着られないので、それでお願いしますと、御了承を頂きました。

早速、雰囲気の合う素材を探しましたが、透け素材は本当に難しい!黒とも紺ともグレイともつかない独特な素材に黒をどうマッチさせるのか?生地屋さんにイケそうな生地を片っ端からみせて頂いて、やっぱり透け感とドレープが特徴のシフォンしかない!ってことになりました。最初は製品の裾をそのまま残して裏側に生地足しして裾を遊ばせる(浮かせる)予定だったんですが、どれもこれも全くマッチしない!「あっ!この手があったー。」と閃いたのが接ぎ位置にテープを貼って完全にセパレーションするという方法でした。

んじゃ、テープは何がいいんだろう?色はどうしよう?また、悩みが増えてしまって、収拾が付かない。とりあえずイケそうな素材を調達して、後日また確認をかねてテープを探しにいきました。

やっと、イメージが固まり作業開始です!裾をちょっぴり広めにとって二重にしてみました。透け感を統一するなら一重でもいいんですが、全面に広がるインパクト充分な刺繍のお陰で、実際に着ると、さほど透け感が気になりません。だから裾のまったく柄のない部分が一重だと、そこだけ異様に透け感が出るだろうと思ったんです。テープも様々合せてみましたが、衿ぐりに使ってある金茶では、全体が煩い印象になるので、こげ茶を選んでみました。刺繍よりも少し濃い色目です。

一番下の刺繍ギリギリに生地足しして、接ぎ目と元裾のステッチを覆うようにテープを貼りました。ミシンを何本も掛けることになるので、ちょっと工夫して出来るだけ仕上がりが硬くならないように気を配りました。

仕上げてみると、少しシックな雰囲気が増したように感じます。悩んだ以上のすっきりした仕上がりになったと思います。今回は無事に仕上がって少しほっとしました。その位、合せる生地が手配できない苦悩も時にはあります。目先を変えたり別のアイディアを取り入れたりと考えながら、「これだー!」って決まった時の喜びは、何者にも変え難いものがあります。